星見る囚人

楽しい世界にむけ脱獄進行中

【同棲日記】ふたりぐらしは突然に 『一緒に暮らそう』

「今日からしばらく一緒に暮らそう。」

「え、今日から?!」

 

電話一本で、私たちの同棲は始まった。

 

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きっかけは、彼氏の転職だった。

それまで勤めていたブラック企業を辞め、転職活動をしているところだったが、転職先が決まったと連絡を受けたのが昨日。

もともと結婚を考えた付き合いだったから、確かに「いずれは…」と思ってはいた。いたけど、まさか今日からとは。彼の行動力には恐れ入る。

 

数日分の着替えだけを持って、彼はやってきた。もとからうちに置いてある物も多いから、そこまでの荷物にはならなかったんだろう。

 

「よ、よろしくね。」

「う、うん…。まあ、上がって。」

 

なぜか緊張する。何度もうちには来ているはずなのに。これが同棲マジックか。

いつもの場所に座る彼も、そわそわと自分の脚をさすっている。いたたまれなくて、いつになく家事をこなした。

 

同棲、とは言うものの、とりあえずは「彼の新しい仕事が始まるまで」という期限付きのものだ。私も求職中で時間があるうちに、おためしで暮らしてみようということだった。

というのも、以前彼の生活力の無さが原因で喧嘩になったことがあり、私が「一緒に生活するって楽やないねん!」と言ったのを受けてのことらしい。ほな実際やってみよやないかい、というのがいかにも彼らしい発想だ。

まあ確かに、実際やってみないことにはわからないし。私はうんうんと頷いて自分を納得させ、同棲生活へと踏み出していった。

 

同棲の始まりは小言から

『同棲』という言葉は、どことなく甘ったるいにおいのする言葉だ。四六時中好きと言うような、真夏の果実的なにおいがする。

だが、「現実は非情」という言葉を思い出させるものでもあるのだと、今日学んだ。

 

四六時中一緒にいると、今まで気にならなかったことがどうしようもなく気になってくる。そして、母親のごとく小言が多くなっていく。

「ごはんこぼすんやったらテレビ見ながら食べんといてよ」とか、「ずうっとゲームばっかして」とか、「洗濯物の干し方そうやないって」とか、「料理してるとき邪魔せんといて」とか、「洗い物して床びしゃびしゃで掃除せなあかんやん…」とか。

そのうち、「もう私がやるから置いといて」しか言わなくなった。世のちびっこを抱えるお母様方の気持ちはこんな感じかしら、と勝手ながら思う。

 

それに、圧倒的に自分の時間がなくなる感じがするということもわかった。

私たちは、付き合った当初から、同じ空間にいてもお互いわりと自由に過ごすタイプだった。だから、一緒に暮らすことになってもそのあたりは困らないだろうと思っていた。

けれど、彼が隣にいると思うと、自分のしたいことができない。本を読んでも動画を見ても、彼を気にしてしまう。退屈してんちゃうか、ほったらかしたら悪いかな、と考えてしまって全く集中できない。これはまずい。

彼のほうはそこまで気にしてる様子もなかったが、私がここまで気にしいだったとは誤算だった。今後は対策を考えなくては…。

 

ハーフビターな生活

同棲生活はもっと甘いものになるかと思っていたけれど、甘かったのは私の読みだったのだ。

他人と暮らすということが大変なんだということを、身をもって知ることができた。

これは、実際やってみなくては知り得なかったことだ。それを知れて、体験できていることに意味がある。そういうことにしておかないと、不安の足音に思考を奪われそうだ。

 

同棲1日目にしてこんな調子で大丈夫なんやろか…。

 

彼女というより、母親のような気持ちを抱えながら、呑気に寝息を立てている彼を眺める。私の不安なんて、これっぽっちも頭にないように眠る彼の鼻を、腹いせにぎゅっとつまんで、私の同棲生活1日目は終わった。

 

 

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