星見る囚人

楽しい世界にむけ脱獄進行中

【同棲日記】ふたりぐらしは突然に 『わがままはアイスクリームで許して』

 

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一緒に暮らすと、気づくことがある。

今日気づいた一番のことは、「ふたりで暮らすには、ふたりの努力が必要」ってこと。

 

無邪気なあなた、不安な私

突然始まった同棲生活の2日目。

朝起きて隣に彼氏がいることの幸せは、それなりに感じた。眠っている彼をおいてベッドを出て、キッチンへ向かう。朝ごはんを作らないと。

トーストとベーコンのにおいで目を覚ました彼が、ぼんやりとリビングへやって来た。跳ね回る髪もそのままに、彼はトーストの上のとろけるチーズのような格好でソファにだれて、スマホでゲームを始める。

 

(こういうとこ、ほんま…)

 

小さな画面にくぎ付けになっている彼を横目に眺めながら、同棲する前にした喧嘩のことを思い出した。

 

週末は毎回のように彼がうちに来ていたけれど、その頃から彼が家事を手伝ってくれることはほとんどなかった。

ごはんの用意や片付けを当然のように私だけがやり、彼はでーんと座ってゲームしているだけ。「手伝ってよ」と言うとやってくれることもあったけれど、「人んちで勝手にいろいろすんのも悪いから」というのが彼の言い分だった。

…ずるい言い訳だと思う。

 確かに彼の言い分は正論だ。だけど、そういうことじゃあない。何なら、実際には何もしてくれなくてもいいから、「何かしよっか?」と聞いてくれるだけでよかった。こちらを気遣ってくれていると信じさせてくれさえしたら、私は満足だったのだ。

 

大切にされていると思わせてほしかった。ただ、それだけだった。

 

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「できたでー。」

「うまそー!いただきまーす。」

「はい、どうぞ。」

 

口の周りにパンくずをいっぱいつけながら、彼がトーストをほおばる。子どものようなその無邪気さが好きだけど、不安でもあった。

そう、私は不安だったのだと思う。

付き合いも長くなってきて、結婚も意識するようになって、恋愛のつづきというわけにはいかなくなってきた。現実にふたりで生活することを考えたとき、私には他人と生活するなんてできっこないように思えて不安だったのだ。

 

苛立ちの正体

「作ってくれたぶん、片付けは俺がするようにするわ。」

「う、うん…じゃあ、お願い」

 

同棲を始めてから、彼は張り切って家事をしてくれるようになった。私が「生活力なさすぎやし、結婚しても私だけじゃふたり分の家事なんてできひん!」と言ったせいだ。だから、頑張ってくれている。それはわかる。けど、いかんせんそのやる気はかなり空回っていた。

 

「終わったー。」

「ありがと…って、また床びしゃびしゃやん!もうー。気をつけてって昨日言うたやんか。」

「あ、ご、ごめん!俺が拭いとくから!雑巾どこやっけ?」

「…私がやっとくからいい。もう…なんで洗い物するくらいでこんななんねん。」

「…ごめんな。」

「……いいよ。私こそごめん。」

 

彼のやる気が空回りして家事が増えたとき、どうしても私は苛立って彼に小言を言ってしまう。

こういう自分は嫌なのに、つい言ってしまって後悔する。こんな言い方したら、優しい彼は謝るしかなくなってしまう。悪いのはいつも彼、という構図になって、彼のやる気を削ぐだけだ。どうしてこんなにも苛立ってしまうのだろう。

 

何気なく過ごしているときもそうだ。

私がブログを書いてるときに、彼がゲーム動画を見ていた。お互い好きに過ごしていて、今まではそれで何のストレスも感じなかったはずなのに、やたらそのゲーム音にイライラした。

 

「…なあ、それやめて。」

「ん?なに?」

「そのゲームの音、めっちゃ気に障んねん。てか、ずっとゲームゲームでなんなん?放ったらかしのフライパンでも洗ったら?」

「洗い物したらしたで怒るやんか。そっちこそずっとブログ書いてて、同じことやろ。」

 

そう言われてはっとした。そうだ、私だって好きに過ごしているはずなのに、彼に怒るのはおかしいはず。どうして、どうして私はこんなに苛立っているの?

 

「………ごめん、なさい。」

「あ、いや…俺こそごめん。なんか、その…掃除でもしとくな!」

 

そそくさと掃除を始める彼を見ながら、私はぼんやりと考えた。

 

同棲を始めてから、彼は彼なりに出来ることを頑張ってくれている。それなのに、私は彼を信じきれていないのだ。ずっとその努力をし続けることは出来ないのではないか、と思っている。

その不安を消したいから、彼が私のために努力する姿を常に見て安心したいのかもしれない。

私が何か言う前に、私のために動いてほしいと甘えている…。今まで出来なかったことを、私のために出来るようになってほしいと、傲慢な期待を寄せている…。

それは、とても自分勝手なものだ。逆の立場だったとしたら、きっと私は彼に詰め寄って怒っているだろう。

彼ばかりに求めて、私はどれほどの努力をしたというのか。歩み寄って自ら行動する必要があるのは、私のほうも同じだ。

彼の優しさに甘えて、勝手な期待をして、自分が努力することを忘れていた。

 

「…私も、一緒にやる。」

「え、ブログもうええの?」

「うん。一緒に頑張りたいねん。」

 

真夜中のコンビニ

日付もとうに超えた深夜。晩ごはんをしっかり食べたというのに、なぜかこの時間帯は小腹がすく。

とは言え、深夜にひとりでふらふらできるほど治安は良くない地域だから、普段なら諦めていた。けれど、今は違う。彼と一緒に、近くのコンビニに行くことにした。

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全然おしゃれじゃないTシャツに短パン、それにサンダル。ふたりしてダサダサな格好だ。でも、そんなラフな感じでいられるのが、なんだか嬉しかった。

 

「私が買ったげる。好きなん買い。」

「なんでーな、ええよ俺が出すから。」

「ええから!」

「えー。…ほな、これとこれ!」

「ちゃっかり2個持ってくるやつぅ」

「だって好きなん言うからあ。」

 

やっと『ふたりぐらし』の本当のところが見えてきた気がする。

彼だけにいきなり一歩踏み出してもらうのは難しい。なら、私から半歩、歩み寄ればいいのだ。そうして手を取り合えば、ふたりで進んでいける。

強く成長するのだ、私も、彼も…ー。

 

「このアイス、おいしいなあ。」

「せやなあ。ちょっともーらい!」

「あ、ずるいー!」

「ええやんええやん、俺のもあげるさかい。な?」

「もー、しゃーないなあ。」

 

真夜中にふたりでダサい格好でコンビニに行けるのは、ふたりぐらしの特権だ。

 

 

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